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ニポポ代表理事ブログ---- 総合診療医を目指す皆さん、北海道の自然を満喫しながら研修をしてみませんか。
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「指導医養成講習会」

 9月6、7日、第10回北海道プライマリ・ケアネットワーク 臨床研修指導医養成講習会を企画し、チーフタスクフォースとして参加した。当日、ACU会場で7:15から打ち合わせ。受講者は22名。
まず山本和利の挨拶、タスクフォース紹介後、山本和利のリードで「アイスブレイキング」。偏愛マップを使って、雰囲気を和らげた。


 続いて勤医協札幌病院の尾形和康氏の主導で「カリキュラム・プランニング」を120分。従来型カリキュラムのミニレクチャー。学習プロセスの解説。教育目標の分類(知識、態度、技能
)とそのレベルの説明(知識:想起→解釈→問題解決、態度:受け入れ→反応→内面化、技能:模倣→コントロール→自動化)。一般目標(GIO)と個別目標(SBOs)の関係を説明。SBOsをすべて達成すればGIOを達成することができる。CVカテーテルの挿入」等の課題を各グループで演習。教育目標はただ作ればよいわけではない(RUMBA:real, understandable, measurable, behavioral, achievable)。教育目標はスマートに(SMART:specific, :模倣→コントロール→自動化)。学習方略の解説。学習成果は、人に教えると90%、講義を受けると5%が身につく。学習方略を選択するときの選択の仕方。順序、方法、組み合わせ、場所、道具、時間、経費等を考慮する。評価の解説。「学習者は自分がどのように評価されるかによって学習態度を変える」すなわち、評価は人をつくる。研修分野別マトリックス表を使ってグループ作業。普段指導している科に研修医が回ってきたという設定で、指導医、研修医役に分かれて、ロールプレイ。指導医が背景、研修できる内容を説明する。その後、研修医は過剰な希望を述べる。指導医はRUMBA,SMARTを意識して、研修医の希望をお互いが納得できる最終的な研修目標に修正する。



 江別市立病院の日下勝博氏の主導で「上手なフィードバックをしよう」のセッション。 指導医としてフィードバックにおいて悩ましいと感じかことをグループ討議。自己分析能力の高い研修医、生真面目だが気づきの少ない研修医、能力以上に自己評価が高い研修医という3シナリオを用いたロールプレイを行った。3人一組でのロールプレイは研修医役、指導医役、評価者役をそれぞれ1回ずつ(緊張しやすく技術が未熟な研修医、当直明けで眠気を堪えて外来研修を受ける研修医、問題をあちこちで起こすのに自信満々の研修医の3シナリオ)。ここでは指導医としての質を上げることが目的なので、指導医役には、シナリオに沿った役つくりよりも、研修医への最良のフィードバックを実践するという前提で指導を行った。
第一日の午前の日程を終了したところで、写真撮影となった。



 昼食後、余市協会病院の森博威氏の主導で「ヒアリハット・カンファランス」セッションを行った。はじめに成人教育理論についてのミニ講義。人は何から学ぶか?先輩の背中、プロジェクトに参加して、挫折から、という意見がある。チーム医療の強化、医療安全。人間の信頼性は、思ったよりずっと低い。個人へのエラー防止効果は低い。組織的に対応しなければならないが、診断プロセスは医師が責任をもってやらなければいけない。思考だけでなく感情のプロセスも重要となる。省察的実践家である必要がある。Significant event analysisを用いる方法を紹介。よくある病気を選ぶことが大切。鑑別診断に入っていなかった事例。診断がつきにくかった事例。見逃して悔やまれる事例。当時の記録をそのまま再現する。判明した順番に発表する。自分お気持ちも発表する。クリニカル・パールを必ず入れる。余市協会病院の背景を説明。その後、「呼吸困難、咳で受信した82歳男性」についてヒアリハット・カンファランス(研修医が振り返りをしながら向上してゆく)を研修医に実演してもらった。研修医はCOPDの急性増悪を考えた。腹部XPにてFree airなし。イレウス像なし。胸部CTにてブラあり。COPDの急性増悪として入院加療。順調であったが、7日目に38度の発熱。CRP:8.9,WBC;11,600。胸部Xpのfree airを見逃していた。筋性防御あり。腹部CTでS状結腸穿孔と判断され手術となる。クリニカル・パール「ステロイドが消化管穿孔を誘発した」「腸管穿孔では腹部症状にくい」
第2例目。「発熱、食欲不振で入院した脳梗塞後の85歳男性」。はっきりした所見なし。気管支炎として対応。内臓破裂の手術(脾臓摘出)。CRP;11.7.WBC;8,700. 抗菌薬で加療。培養依頼。腹部XPでガスが多い。麻痺性イレウスか。筋性防御出現。虫垂炎を起点としたイレウスであった。クリニカル・パール。「症状を訴えにくい患者では病歴と身体所見の信頼性が低い。」「麻痺性イレウスでは積極的な検索が重要である」最後に医療安全についての意見交換が行われた。


 
 続けて、むかわ町穂別診療所の夏目俊彦氏の主導で「5マイクロスキルの実践」セッション。一番の問題は、研修医が考えて答える前に、指導医が答えを言ってしまうことである。今回お勧めのマイクロスキルは5段階を踏む(考えを述べさせる、根拠を述べさせる、一般論のミニ講義、できたことを褒める、間違えを正す)。外来患者シナリオ3つを用いて2人一組になってロールプレイ(シナリオの読み上げ)を行った。最後は、自分たちでシナリオを作成してもらい、いくつか自信作を発表してもらった。
 


 続いて月寒クリニックの寺田豊氏に主導で「community-oriented Primary Care(COPC)を用いた地域医療の教え方(community-based medical education)」セッション。
まず、参加者がどんな地域研修を受けたが述べていただいた。病院の地域研修プログラムについて各グループで紹介してもらった。
ティーチングー・シナリオを用意する。母子家庭の事例を提示。母子家庭は釧路、旭川に多い。下痢や咽頭痛の患者さん事例から入るワークショップを紹介。
始めに、地域で困っている問題を挙げてもらい、ティーチングー・シナリオを作ってもらった。函館のイカによるアニサキス、釧路の昆布漁の合間の間食で肥満、出稼ぎが多い地区でのHIV感染症、都会での母子健康手帳のない家族、日高の馬外傷、帯広のトキソプラズマ感染症、仙台の胆石症、などがあがった。
地域を自分の目で知ろうという手法として「地域視診」、「フォトボイス(医師が写真を撮る)」「photo elicitation(住民が写真を撮る)」「ライフ・ストーリー」「360度評価(振り返り)」手法を紹介。

12の秘訣
1. 全人的・包括的・継続的な医療を教える
2. 地域の医療スタッフがロールモデル
3. カルチャーショックを振り返りにつなげる。
4. カリキュラムを与える。
5. 学ぶ時間を確保する。
6. サポート・ガイダンス、カウンセリングをしっかり行う。
7. ポートフォリオを利用した評価を行う。
8. 実習教材の工夫をする。
9. 体験から学ぶ。
10. 地域医療スタッフから生部。
11. 社会的な役割を学ぶ
12. 地域との関わり合いを強化する。

これらについて具体的な事例をあげながら進められた。
 地域医療の魅力を伝える地域保健・医療研修プログラム(1週間)を作る作業を行った(仙台、函館、新潟、福岡)。このセッションでは新しい用語が一杯でてきたが抵抗なく、活発に話し合いが行われた。



「北海道おける地域医療の現状と道の取り組みについて」と題したセッションで北海道保健福祉部の石井安彦参が講演された。
今回は、北海道の医師不足を強調された。指導医の役割も強調。 高齢医師が増えているが、若い医師は減少している。女性医師が増えている。地域偏在の話。札幌圏内に集中。北海道の取り組みを紹介。「地域医療再生計画」を紹介。道内の研修医の実態に加えて、専門医制度についての最近のそのまま夕食を摂り、情報交換会に移行。動向が示された。都市部の定員は減らしている。北海道は空定員が多い。3年間の研修医は56.3%北海道に残っている。研修後、小児科、産婦人科は志望者が研修後低下している。研修医は指導体制を重視して選択している。そのまま夕食を摂り、情報交換会に移行。



 二日目、松前町立松前病院の八木田一雄氏が「地域包括医療case study」セッションを行った。超高齢者社会、高齢者医療、高齢者介護、介護保険制度についてミニ講義(スライド120枚)が行われた。その後、該当患者とその家族の生活全般の解決すべきニーズをあげてもらい、課題を基にケアプランを作成する作業をおこなった。それを発表してもらった。
 


 勤医協中央病院臺野巧氏主導での「研修医評価」をグループワーク救急の知識・態度を身につける」で、それに対する、個別目標を作成する作業をおこなった。次に、その現実的な評価方を考えてもらった。評価方法として、目標に合わせた評価方法を選択する必要がある。自施設で行っている360度評価を紹介された。自己省察の大切さを強調された。SMARTを紹介(Specific, Measurable, Achievable, Behavioral, Achievable)。単独で当直ができるかどうか判断するために行っている技能を観察する評価法のMini-CEXを紹介。
目標を研修医と相談して設定することで、研修医の満足度が向上した。



 江別市立病院の阿部昌彦氏の主導で参加者各自が得意ネタで10分間講義を白板で行い、その講義のやり方に対してフィードバックをしてもらった。テーマは、大腿骨頚部骨折。中心性頚髄損傷、ヘリコバクター・ピロリ菌感染、ゴリラの話、高齢入院患者の家族への説明、乳がん、原発性副甲状腺機能亢進症、褥瘡の診方、小児の感染症と抗菌薬、急性大動脈乖離、生活習慣病、喫煙の害、について、マウス敗血症、地域枠卒業生について、麻酔について、前置胎盤、正しい排便の仕方、小児の成長、胃癌、起座呼吸、鼻異物、等であった。和気藹々とした雰囲気で講義は進んだ。最後にRIME modelを紹介した。
総括として、参加者に感想をもらい、受講者代表に終了証を手渡して解散となった。教育に対するモチベーションが上がったという意見が出された。来年度、さらにブラッシュアップして望みたい。

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219日、札幌医大で、ニポポ研修医の振り返りの会が行われた。後期研修医:1名。他:6名。

 ある研修医の外来経験症例。インフルエンザBが多い印象である。57歳女性。糖尿病にランタス1回ではコントロールが難しい。ACEIでの空咳を複数例経験した。62歳女性。悪性リンパ腫の両下肢の浮腫。下大静脈圧迫の疑い。生物製剤治療の予定となった。

往診事例。70歳代女性。家があるため生活保護になれない。糖尿病であるが、自己内服や注射ができていない。74歳女性。慢性頭痛。夫が死亡。トリプタノールを減少し、漢方薬に変更。頭痛のことをあえて訊かず、趣味の話をすることで愁訴が減少した。90歳代女性。血尿がひどかったが、抗菌薬で回復した。80歳代女性。DMのコントロールがメトフォルミン内服で改善した。90歳男性。排便コントロールが難しい。90歳代女性。腎不全、高K血症あり。発熱後、急死した。80歳代男性。PEGの管理。90歳代女性。誤嚥性肺炎。

 研修医から振り返り1題。
 ある胃瘻造設患者。90歳代患者の事例。認知症、胃瘻造設。アスベスト肺。
営林署勤務していた。80歳まで自営。87歳時、壊疽性胆嚢炎後、胃瘻造設となった。89歳時に自宅で療養となり訪問診療となった。

 発熱、両下肺の浸潤影で誤嚥性肺炎。貧血が進み、輸血を受けた。誤嚥を防ぐ工夫をした。
 夏に、脱水症が疑われた。体重減少の報告。
 家族カンファを実施。輸血は行わない。血液検査をしない。急変時は入院を希望。その後、嘔 吐、呼吸状態の悪化が起こり、誤嚥性肺炎となり、永眠された。
 

 今回は、プロフェッショナリスムについて議論が交わされた。
 
 コミュニケーション技法では、家族カンファを開いて、患者の立場にたって診療した。患者・家族の意向を尊重し利他主義を実践した。

 反省点として、チームとして体重減少に執着しすぎて経管栄養剤を増やしたことがよくなかったのではないかと思っている。

 静脈栄養と経腸栄養について調べた。誤嚥性肺炎の発症頻度は経腸栄養と胃瘻とで差はない。上半身挙上が有効である。

 消化管運動賦活剤や半固形状流動食も考えるべきであった。90歳代の患者の体重を測らないという選択肢もあったのではないか。

 今後、実践の場でプロフェッショナリスムを意識してゆくことが重要と思った。

(山本和利)

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12月の三水会」

 

1218日、札幌医大で、ニポポ研修医の振り返りの会が行われた。松浦武志助教が司会進行。後期研修医:1名。他:7名。

 

ある研修医の経験症例。30歳代肥満男性。知的障害。糖尿病。運動療法に目覚めている。通勤バスをやめて駅まで歩くことを勧める。歩くと血糖値が下がることを自覚。50歳女性。糖尿病、病院恐怖症、統合失調症。ペットが死亡しうつが増悪。72歳女性。仮面用顔貌、動作緩慢、筋固縮。パーキンソン病の治療を開始。60歳代高血圧にARB,慢性疼痛にトリプタノールを処方。60歳代男性。発熱、下肺野に浸潤影。肺炎、気管支ぜんそく。50歳代女性。溶連菌感染が職場ではやっている。溶連菌感染として対応。20歳代女性。過呼吸。パニック発作として対応。30歳代女性。激しい咳嗽。クラミジア肺炎と診断。20歳代女性。鉄欠乏性貧血。50歳代女性内服を集団後、入浴中に意識消失。てんかん。20歳代女性。関節痛。感染を契機に血小板減少:6.8万。ITP.

往診事例。70歳代女性。慢性頭痛。夫が死亡。トリプタノールを減少し、漢方薬に変更。80歳代女性。OPLLで寝たきり。ハイ便コントロール。80歳代女性。吐血後肝硬変と診断。90歳代女性。糖尿病、高血圧。排便のコントロールができない。90歳台女性。立てない。座位を保持することを心がける。

 

研修医から振り返り1題。

 ある貧血のある80歳代患者の事例。高血圧症、認知症がある。長男夫婦と同居。逆流性食道炎があるが、薬は飲んでいない。血尿があった。もともとHb:15.5gmlHb:6.4g/ml、ハプトグロビン293であった。便潜血陰性。診断をつけないまま、PPIと鉄剤を処方。 慢性炎症による貧血と考えた。

尿路系の悪性腫瘍の除外を試みた。膀胱鏡で異常なし。腎生検は高齢で適応なし。血液検査で血管炎は否定的。腎性貧血も否定的で、血圧コントロールに徹した。綜合内科にコンサルト。ESR:77/h。フェリチン:20-45.鉄剤内服とエリスロポエチン製剤の使用を勧められた。

 

65歳以上の貧血は35%が原因不明である。

 

コメント:慢性炎症が原因ではないのではないか。ピロリ菌感染による鉄欠乏性貧血ではないか。逆流性食道炎は原因にならないか(そこからの出血)?

 

クリニカル・パール:診療所に通う高齢者の貧血への対応を考えてみた。本院、家族の希望を尊重し、頻度の高い貧血を考えて負担の少ない検査から行う。

Referralに4つの形態がある。紹介。併診。無責任丸投げ。分断されたチーム医療。

家庭医が責任を持ちながら専門家に意見を求める(併診)のが大切。

 

今回は、高齢者の小球性貧血について議論が交わされた。(山本和利)

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 9月18日、札幌医大で、ニポポ研修医の振り返りの会が行われた。松浦武志助教が司会進行。後期研修医:1名。他:6名。

 ある研修医の経験症例。糖尿病の患者が嘔吐。急性胃腸炎以外を鑑別に挙げる。検診で胸部XPをチェックされた患者。頸部腫瘤で受診し、甲状腺腫であった患者。上気道症状を訴える50歳の糖尿病患者のCRP>20、胸部XPで肺炎像あり。テオドールによる動悸。HbA1cは改善したが、体重が増加した糖尿病患者。往診例:肺炎と喘息発作。C型肝硬変の下腿浮腫。肝硬変と心不全の浮腫の違いは?門脈圧亢進では門脈より下にしか浮腫はでない。

研修医から振り返り1題。
 自宅看取りを終末期ケアでの家族コミュニケーションの認識できた一例。
長女、長男と暮らす90歳の慢性腎不全の女性。転倒をきっかけに入院。退院時クレアチニン:6.4。透析は希望しない。長男は母親の状況を理解していない。
長女一人で介護。呼吸苦が出現。利尿剤で改善。多職種カンファランスを開催。長男は苦しいときには入院を検討した。毎日の食事、飲水量を記載。やがて無尿、昏睡となる。自宅で看取るか、入院するか家族の意見が分かれた。結局、自宅で永眠された。

 お悔やみ訪問をした。癌の患者はお悔やみ訪問をしていない。家族から透析をすべきであったかどうかの疑問が出た。

 eGFR<10ml/mで透析をしないと、予後11か月である。どこで看取るかよりも、どのように看取るかが重要である。残された家族へのグリーフケアも重要である。家族の感情を受け入れる、話をさえぎらない、安易に同調しない、自分の体験を強要しない、の4点が大切である。家族に先立たれた人は様々な疾病リスクが高まる。
 クリニカル・パール:終末期ケアでは家族コミュニケーションが重要である。当番制などシステムを作って緊急時の対応体制を構築すべきであろう。
今回も家庭医の視点で、終末期ケアについての重要さを発表してくれた。

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「指導医養成講習会」
 9月7、8日、第9回北海道プライマリ・ケアネットワーク 臨床研修指導医養成
講習会を企画し、チーフタスクフォースとして参加した。当日、ガトーキングダムサッポロ会場で7:00から打ち合わせ。受講者は20名。
 まず山本和利の挨拶、タスクフォース紹介後、山本和利のリードで「アイスブレイ
キング」。偏愛マップを使って、雰囲気を和らげた。
 続いて勤医協札幌病院の尾形和康氏の主導で「カリキュラム・プランニング」を120分。従来型カリキュラムのミニレクチャー。学習プロセスの解説。教育目標の分類(知識、態度、技能)とそのレベルの説明(知識:想起→解釈→問題解決、態度:受け入れ→反応→内面化、技能:模倣→コントロール→自動化)。一般目標(GIO)と個別目標(SBOs)の関係を説明。SBOsをすべて達成すればGIOを達成することができる。CVカテーテルの挿入」等の課題を各グループで演習。教育目標はただ作ればよいわけではない(RUMBA:real, understandable, measurable, behavioral, achievable)。教育目標はスマートに(SMART:specific, measurable, achievable, relevant, time-bound)。学習方略の解説。学習成果は、人に教えると90%、講義を受けると5%が身につく。学習方略を選択するときの選択の仕方。順序、方法、組み合わせ、場所、道具、時間、経費等を考慮する。評価の解説
。「学習者は自分がどのように評価されるかによって学習態度を変える」すなわち、評価は人をつくる。研修分野別マトリックス表を使ってグループ作業。普段指導している科に研修医が回ってきたという設定で、指導医、研修医役に分かれて、ロールプレイ。指導医が背景、研修できる内容を説明する。その後、研修医は過剰な希望を述べる。指導医はRUMBA,SMARTを意識して、研修医の希望をお互いが納得できる最終的な研修目標に修正する。
 

 江別市立病院の日下勝博氏の主導で「上手なフィードバックをしよう」のセッション。指導医としてフィードバックにおいて悩ましいと感じかことをグループ討議。自己分析能力の高い研修医、生真面目だが気づきの少ない研修医、能力以上に自己評価が高い研修医という3シ
ナリオを用いたロールプレイを行った。3人一組でのロールプレイは研修医役、指導医役、評価者役をそれぞれ1回ずつ(緊張しやすく技術が未熟な研修医、当直明けで眠気を堪えて外
来研修を受ける研修医、問題をあちこちで起こすのに自信満々の研修医の3シナリオ)。ここでは指導医としての質を上げることが目的なので、指導医役には、シナリオに沿った役つくりよりも、研修医への最良のフィードバックを実践するという前提で指導を行った。
 



第一日の午前の日程を終了したところで、写真撮影となった。筑波大学から依頼された(指導医のストレスについて)アンケートに応えてもらった。
昼食後、札幌医大松浦武志氏の主導で「SEAの手法を活かした教育カンファランス」セッションを行った。はじめに成人教育理論についてのミニ講義。人は何から学ぶか?先輩の背中、プロジェクトに参加して、挫折から、という意見がある。その後、「嘔吐、発熱で救急受診した60代男性」についてヒアリハット・カンファランスを研修医に実演してもらった
。急性胃炎として対処したが、最終的に脳出血であった。75枚のスライドを使って精力的に発表された。「意識障害をなめるな」「嘔吐は消化器疾患だけではない」「忙しいときこそ一歩引
いて自分を客観視する」という学びを得た。最終的な総括として、「診断エラーを防ぐためにシステマティックなアプローチを意識する」最後に自分の施設で振り返りセッションを行うにはどうしたらよいかをグループで話し合ってもらった。
 





 続けてむかわ町穂別診療所の夏目俊彦氏の主導で「5マイクロスキルの実践」セッション。一番の問題は、研修医が考えて答える前に、指導医が答えを言ってしまうことである。今回お勧めのマイクロスキルは5段階を踏む(考えを述べさせる、根拠を述べさせる、

一般論のミニ講義、できたことを褒める、間違えを正す)。外来患者シナリオ3つを用いて3人一組になってロールプレイ(シナリオの読み上げ)を行った。最後は、自分たちでシナリオを作成してもらい、いくつか自信作を発表してもらった。







 続いて月寒クリニックの寺田豊氏に主導で「community-oriented Primary Care(COPC)を用いた地域医療の教え方(community-based medical education)」セッション。
まず、病院の地域研修プログラムについて各グループで話し合ってもらった。

CBMEの3つの目標
1. 総合診療・家庭医療について学ぶ
2. 総合診療以外の分野を学ぶ
3. 多数の分野を並行して学ぶ
12の秘訣
1. 全人的・包括的・継続的な医療を教える
2. 地域の医療スタッフがロールモデル
3. カルチャーショックを振り返りにつなげる。
4. カリキュラムを与える。
5. 学ぶ時間を確保する。
6. サポート・ガイダンス、カウンセリングをしっかり行う。
7. ポートフォリオを利用した評価を行う。
8. 実習教材の工夫をする。
9. 体験から学ぶ。
10. 地域医療スタッフから生部。
11. 社会的な役割を学ぶ
12. 地域との関わり合いを強化する。
これらについて具体的な事例をあげながら進められた。
次にロンドン大学モデル(高次医療機関と家庭医診療所のセット)とケンブリッジモデル(都会から離れた診診療所で研修)を紹介。Asset-based community development(ABCD)を紹介。5つのassets。①個人のスキル、②ボランティア組織、③機関、④経済的洗剤能力、⑤土地・物理的長所。
新しい用語が一杯で参加者はついていけただろうか。
「北海道における地域医療の現状と道の取り組みについて」と題したセッションで北海道保健福祉部の石井安彦参事が講演された。今回は、北海道の医師不足を強調された。指導医の役割も強調。高齢医師が増えているが、若い医師は減少している。地域偏在の話。札幌圏内に集中。北海道の取り組みを紹介。「地域医療再生計画」を紹介。道内の研修医の実態に加えて、専門医制度についての最近の動向が示された。都市部の定員は減らしている。北海道は空定員が多い。3年間の研修医は56.3%北海道に残っている。研修後、小児科、産婦人科は志望者が研修後低下している。研修医は指導体制を重視して選択している。
そのまま夕食を摂り、懇親会に移行。
 二日目、山本和利が「臨床研修制度と専門医制度」についてのミニ講義を行った。臨床研修制度についての問題点をグループ討議してもらった。参加者の大部分が問題があることは認識した上で、現制度を是認していた。専門医や専門医制度の在り方についても討議してもらった。新たな専門医認定機構が設置されるが、国が関わっていない等、注意深く見守っていく必要があろう。
 江別市立病院の阿部昌彦氏主導での「教育の評価」は、3シナリオを準備していずれか1つのシナリオに沿ってロールプレイを行った。最初に初期研修医評価のための指導医会議(指導医、シニア研修医、看護師長、看護主任、ソーシャルワーカー役)を模擬体験した。最後に、自施設で行っている360度評価を紹介された。自己省察の大切さを強調された。



 最後はクリニックあずまの大門伸吾氏の主導で「ティーチング・パールを共有しよ
う」のWS。参加者各自が得意ネタで10分間講義を白板で行い、そのやり方へのフィードバックをしてもらった。テーマは、高齢者の発熱(4CD VP3)、大腿骨近位部骨折、漢方は体にやさしいか、リウマチ、外科的気道確保、ヘリコバクター・ピロリ菌、意識障害,慢性下痢、肺がんが疑われた場合の外来診療の流れ、US health care system primary care とmidplevel providor(ナース)、切断肢、気分障害、いつリウマチを疑うか、ERで急性冠症候群を見逃さない、心不全、アルコール依存症、睡眠障害、慢性疾患の外来診療のコツ、エコー下CVカテーテル挿入のコツ、外科研修(手術)、等であった。和気藹々とした雰囲気で講義は進んだ。
 総括として、参加者の感想をもらい、受講者代表に終了証を手渡して解散となった。来年度、ブラッシュアップで企画を試みたい。(山本和利)

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