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ニポポ代表理事ブログ---- 総合診療医を目指す皆さん、北海道の自然を満喫しながら研修をしてみませんか。
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 9月23日、東京都医師会館で行われた「学会認定制度の今後の進め方」のWSに参加した。参加資格は特になく、参加者の属性は理事、プログラム責任者、研修医が主であった。朝一番の飛行機で行ったが、開始時間に間に合わず途中から参加。
 
手医師部会からの報告。
後期研修医の実態調査(2006-2010年)。
128プログラムがあり、現在の研修医は88名、5年間で400名。そのうち10名離脱。新臨床研修制度後の研修医は45名。研修医がいないプログラムが半数。大学以外が86%。
若手医師からの様々なアンケート上の意見が開示された。医師の比率で行くと、約1%しか家庭医を目指していないという、私の実感を裏付けるデータであった。
 
つかのミニレクチャー後、WS「今後のPC専門医制度をいかに充実させるか」に移行。
私の参加したグループの話し合った内容を紹介しよう。
プログラムがまだ認知されていない。診療所研修をどこでやるか。若手医師は先に臓器別専門医をとる方向にゆく。若手とシニアの2本立てで行くのがよい[移行措置]。細々としたニーズはある。指導医の資格がどうなっているのか、よくわからない。研修医が飛び込むにはハードルが高い。指導医のレベルが高くない。
 
げるにはどうしたらよいか。次のような課題が出された。
・専門医試験の内容
・診療所研修をまとめてするか、週1回でよいか
・指導医の質
・初期研修で方向転換しないようにする方法
・広報を学会単位でしっかりと
・若手以外の医師の移行措置をどうするか
・会員数が少ない
 
食後、大西弘高氏の「ポートフォリオのあり方」の講義があった。
20のエントリー項目すべてが必要なのか、再検討すべきである。
作成のプロセスは、1)現場での業務、2)再構成されたポートフォリオを通じた省察、3)エントリー項目の脇組に関する学習、からなる。記述し、分析し、統合する作業である。これまで受験の際に提出されたポートフォリオをみると、各エントリー項目に必要な情報の記載が不十分なものを少なからず認める。
 
後に、4つのテーマでグループ討議を行った。私は「専門医の制度設計」に参加した。
・家庭医専門医、病院総合医を2階建てにするのか、並列にするのか。
・内科総合専門医を含めた他学会とのすり合わせをどうするか。
・モデル事業で病院総合医研修を始める。
 
回このWSに参加して、充実した専門医制度を確立するのは課題が山積みであることをあらためて痛感した。(山本和利)
 

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 9月24、25日、第7回NPO北海道プライマリケアネットワーク指導医講習会にチーフタスクフォースとして参加した。当日、会場である札幌医大で7:00から打ち合わせ。受講者は14名。
 
まず山本和利の挨拶、タスクフォース紹介後、山本和利のリードで「アイスブレイキング」。偏愛マップを使って、雰囲気を和らげた。好きな項目には子育て、料理、お酒、ビールなどが挙がっていた。
 
続いて尾形和泰氏の主導で「カリキュラム・プランニング」を150分。教育のタキソノミー、一般目標(GIO)、行動目標(SBOs)の説明。途中、二人一組になって、相手の専門領域の教育目標を作りあって評価し合う作業をしてもらった。これは新しい試みで、大変盛り上がった。新しいカリキュラム・モデルを紹介。教育方略のSPICESモデルを紹介。学習方略、学習環境について言及(人的資源、物的資源、時間、場所の使い方)。ここで、二人一組で作ってもらった教育目標をどのように実践するについて方略を考えてもらった。続いて評価の仕方(形成的評価、包括的評価)を紹介。評価しようとするタキソノミーと評価方法を紹介。最後にRUMBA(real, understandable, measurable, behavioral, achievable)を強調して、セッションを終えた。
 
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  続いて、川口篤也医師の主導で「SEAを用いたプロフェッショナリズム教育」セッションを行った。なぜプロフェッショナリズムなのか、を解説。「新千年紀のプロフェッショナル憲章」を紹介。「家族旅行を半年ぶりに家族サービスを計画。出発直前に肺炎入院中の患者が急変したと連絡が入った」さあ、あなたならどうする。モヤモヤ領域をどう教育するか。背中を見せながら振り返ることの重要性を強調。行為中に省察し(独自で)、事後に省察し(チームや同僚で)、未来につなげる(reflection in action→on action→for action)。事例をSEA形式にして提示。その後、各自にSEAを書いてもらった。感情面に焦点を当てる。各グループの中で興味深い例を一つ選び、それについて討議した。非難されないという雰囲気がよかった、と受講者の声。
 




記念撮影(参加した証拠)。
 
昼食後、札幌医大松浦武志助教の主導で「SEAを用いたヒアリハット・カンファレンス」セッションを行った。はじめにリスク・マネジメントについてのミニ講義。人は何から学ぶか?先輩の背中、プロジェクトに参加して、挫折から、という意見がある。その後、濱野貴通研修医の事例「持続する嘔吐を呈する高齢女性」を通じてヒアリハット・カンファランスを実演してもらった。クリニカル・パール:「謳気、嘔吐に神経所見があれば頭蓋内病変を疑う。検査前確率を高める因子として、高血圧の既往、抗凝固剤の内服、加齢などが挙げられる。意識障害の合併症を疑った場合には、頭蓋内病変と全身性疾患とを分けて考えることが重要である。その際、血圧値が参考になる。家族からの情報は何よりも重要である。」。最後に自分の施設でSEAセッションを行うにはそうしたらよいかをグループで話し合ってもらった。
 
続いて、八木田一雄氏の主導で「上手なフィードバックをしよう」のセッション。自己分析能力の高い研修医、生真面目だが気づきの少ない研修医、能力以上に自己評価が高い研修医という3シナリオを用いたロールプレイを行った。3人一組でのロールプレイは研修医役、指導医役、評価者役をそれぞれ1回ずつ(緊張しやすく技術が未熟な研修医、当直明けで眠気を堪えて外来研修を受ける研修医、問題をあちこちで起こすのに自信満々の研修医の3シナリオ)。
 
続けて臺野巧医師の主導での「実践的研修評価」は、3シナリオを準備していずれか1つのシナリオに沿ってロールプレイを行った。まず「評価をしないで教育するのは、味見をしないで料理をするようなものだ」というスライドを提示。最初に初期研修医評価のための指導医会議(指導医、看護師長、看護主任、ソーシャルワーカー、等)を模擬体験した。患者ケア、医学知識、症例に基づいた学習とそれに伴う向上、コミュニケーション技術、プロフェッショナリズム、システムに応じた医療、の6項目について評価をしてもらった。
 
続いて、場所を変えて「北海道における地域医療の現状と道の取り組みについて」と題したセッションで北海道庁の杉澤孝久参事が講演された。医師数は西高東低。道内は全国並み。2010年6月現在、医師は道内では1,007名不足。質疑応答後、情報交換会となり、第一日の日程を終了した。
 
第二日目は、稲熊良仁氏の主導で「5マイクロスキルの実践」セッション。一番の問題は、研修医が考えて答える前に、指導医が答えを言ってしまうことである。今回お勧めのマイクロスキルは5段階を踏む(考えを述べさせる、根拠を述べさせる、一般論のミニ講義、できたことを褒める、間違えを正す)。外来患者シナリオ3つを用いて3人一組になってロールプレイ(シナリオの読み上げ)を行った。最後は、自分たちでシナリオを作成してもらい、各グループの自信作を発表してもらった。
 
 
最後は阿部昌彦氏の主導で「ティーチング・パールを共有しよう」のWS。研修医はお寺に住み込む修行僧のようだと例えた。(色つきの作務衣のような服を着て、禅問答のようなプレゼンをしている)。参加者各自が得意ネタで10分間講義を白板で行い、そのやり方へのフィードバックをしてもらった。次のようなテーマで行われた。マラソン、白内障、大動脈解離、めまい、胃癌の内視鏡治療、癌症状の緩和、チーズの普及、血液培養、鼻出血、呼吸器内視鏡、心因性腰痛、コーチングに学ぶ研修医指導の言い回し、日本の外傷医療の問題点、身体障害者への対応、等。最後に研修医のプレゼンテーションについてのミニレクチャーを行った。江別総合病院式プレゼンテーションを紹介。
 
最後に総括として、参加者全員の感想をもらい、受講者に終了証を手渡して解散となった。
 
今回、参加者が14名と少なかったことが惜しまれる。参加者からの評判は上々であった。大勢が参加してくれるようになるような工夫をしたい。(山本和利)

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 9月21日、札幌医科大学においてニポポ・スキルアップ・セミナーが行われた。講師は北海道大学病院感染制御部の石黒信久准教授である。テーマは「小児科でよく見る感染症」で,参加者は10数名。
講義のポイントを示そう。

・初診時に『全身状態』良好の髄膜炎症例は少なからず存在する。発熱を主訴とする3歳7カ月の男児。突然頭痛。髄液検査から髄膜炎であった。全身状態が不良の場合は要注意であるが、重症感染症でも補液をすると顔色がよくなることがある。4か月未満の発熱児は原則入院とする。インフルエンザ桿菌は重症度が高く、嘔吐が多い。肺炎球菌ではWBC>15,000が多い。髄膜炎ではCRP>5.0が多い。現在の医療水準では髄膜炎はスクリーニングできない。
・DPTワクチン接種前の百日咳は怖い。劇症型百日咳。WBCが多いと死亡する率が高くなる。WBC除去をすると予後が改善する。成人百日咳が増えている。大人が乳児に感染させるので、大人の予防接種が重要。
・DPTワクチン接種後の百日咳診断は難しい。大多数は診断されていない。不顕性感染が多い。小児へのDPTワクチン接種を徹底する。周囲に感染者がいるかどうかが大切。1時点の抗体価で診断するのは無理。2回目で4倍の上昇が必要。採取の問題。検査室に一声かける(特別な培地がある)抗体価が二鋒性の場合:不顕性感染、再感染、昔使用したワクチンの影響が考えられる。遺伝子検査:LAMP法がよい。
・ロタウイルス胃腸炎にはCNS合併症がある。ロタウイルス胃腸炎の経過中痙攣重積の1歳児。神経発達障害が起こった。最近、ロタウイルスのワクチンが始まった。
・麻疹診断には遺伝子検査を用いる。日本は2012年までに根絶すると宣言している。
・中耳炎で使用可能な抗菌薬は限られる。起炎菌が肺炎球菌にはAMPCを倍量用いる、インフルエンザ桿菌にはメイアクト。オラペネム、オゼックスは最後の武器に用いるよう、入院患者に限定するべきである。発熱がある患児で見落としやすいのは中耳炎。
今回で小児科シリーズ(健診・発育、救急、感染症)3回を終えた。このような知識を日々蓄積しながらプライマリケア医として、地域で活躍してほしい。(山本和利)
 

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 9月21日、札幌医科大学において三水会が行われた。参加者は10名。大門伸吾医師が司会進行。初期研修医:2名。後期研修医:6名。他:5名。
研修医から振り返り5題。

 ある研修医。発熱が続き原因究明に苦慮した症例。認知症のある78歳男性。食事がむせることが2-3週間続いた。悪寒、発熱を主訴に救急車で受診。COPDがあり,肺炎球菌ワクチンは未接種。BP;96/60mmHg, HR:60/m、SaO2;96%(O2;1L/m),CRP;5.8m WBC:9800,
右下葉に浸潤影。肺炎として加療。肝機能障害が出現。徐々に改善したため、療養先を探し始めた。血痰があり、呼吸器科にコンサルト。発熱はアセトアミノフェンで解熱。抗菌薬を中止しても微熱のみ続いている。薬剤熱、IE,悪性腫瘍等を考えた。転院間際にSCC;7.1で、喀痰から扁平上皮がんと診断された。
閉塞性肺炎の可能性はないのか?CTからは考えにくいというコメントであった。認知症があり、気管支鏡は施行できなかった。癌の場所によって予後が違うのではないか。
クリニカル・パール:発熱の原因として悪性腫瘍を考える必要があると思った。
 
 ある研修医。82歳女性。ADL低下、摂食不良。小刻み歩行、振戦あったが、パーキンソン病ではなく、認知症と診断された。高血圧、GERD,便秘、胆嚢摘出後である。初期研修医が脱水と診断し点滴で対応。XP,CT、血液、尿で大きな異常なし。血ガスでアルカローシス。翌日、意識レベルが低下した。K;3.2、肝機能障害、嘔吐。よく症状を聞くと以前から頭痛、謳気、嘔吐があった。NH3;194であった、画像診断で脾腫、腹水あり。羽ばたき振戦があった。肝性脳症と診断した。浣腸したら症状は改善した。
検査業者によるとアンモニアはすぐに測らないと数値が上昇するそうだ。
クリニカル・パール:アンモニアは採血後即測定しなければならない。
 
ある研修医。20歳台の女性。妊娠24週。夫からDV。胎児は低体重。尿ケトン陽性で十分な食事がとれていないことが推測された。母子手帳紛失。今後、誰がどう対応してゆけばよいのか。新生児訪問で経過観察したい。
最近の産科の問題は、低栄養の妊婦が増えている、若年多産、10代の妊娠、ネグレクト、虐待、等とのこと。
 
 ある研修医。挿管を繰り返した80歳代男性。RA.浮腫、全身倦怠感。スレロイド内服中。Cr;4.1。下腿浮腫が著明。CRP;3.0,TSH;100。喀痰からグラム陽性球菌陽性。慢性腎不全、肺炎、心不全、甲状腺機能低下症と診断。呼吸機能が悪化し挿管。その後、抜管。心マッサージは不要であるが挿管は希望。その後の増悪時に3回挿管。抜管時家族に見守られて永眠。
クリニカル・パール:入院時にDNRについて詰めておくべきであった。
 
ある研修医。食欲不振の90歳代男性。皮膚が黄色。黄疸の既往。腫瘍を考えた。血液培養でグラム陰性桿菌陽性。胆道系閉塞による敗血症であろうと判断。抗菌薬で軽快した。精査を勧めたが、大都市の病院に行くことを拒否。死んでも行きたくないという人にどうするか?
 
 ある研修医。90歳代男性。喀痰著明。無気肺である。家族の意向で気管支鏡はしないことになった。体位ドレナージで無気肺は改善。一時、食事が取れず。DNRであったが食事を希望したため、ドパミンを投与。この判断がよかったのかどうか悩んだ。
コメント:食事をさせるかどうかを検討する価値はあるが、ドパミンを投与は不要であろう、という意見が出された。
 
ある初期研修医。80歳代男性。脳梗塞の既往。心房細動。右上肢不全麻痺。長谷川式:3点。CTR;63%,胸水あり。EF;45%。利尿剤を静注。その後、指示が不十分のまま出張してしまった。その夜、遅く指示を完了する。予防にまで気が回らなかった点を反省。
 
今回は倫理的な面の話が多く提示された。悩みながらも経験を積んで患者さん家族が納得する医療を展開して欲しい。
 

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「携電子教科書DynaMedの活用」

ある研修病院で研修医と病棟受け持ち患者についてカンファランスを持った。
ニポポ研修医を指導する医師には北海道プライマリ…ケアネットワークが契約して利用してもらっている電子教科書:DynaMedを持参。


リウマチ治療中の再生不良性貧血の高齢女性。B型肝炎の既往がある。ステロイドや免疫抑制剤を使用してよいかどうか? DynaMedには複雑すぎて記載なし。


肝硬変でアミノレバン、糖尿病でインスリン加療中の中年女性に起こった意識障害。血糖降下剤も複数服用しており、食事が十分にとれていないこと、肝硬変があり、血糖値も高くはないことから、低血糖発作であろうとコメントした。

側頭部痛、視力低下、赤沈>100/hで側頭動脈炎と診断された高齢女性。DynaMedで診断について確認。米国リウマチ学会の基準5項目。1)50歳以上、2)新規発症の頭痛、3)側頭動脈の異常所見、4)赤沈>50/h、5)側頭動脈生検の異常所見。3つ以上で感度:93.5%、特異度:91.2%である。この方はすべて揃っていた。治療は40-60mg・日のプレドニン内服を2-6週間、とある。


喘息、drop foot、赤沈>100/hでChurg-Strause syndromeと診断された高齢女性。ガンマグロブリンを使うかどうか?DynaMedで治療の項目を見ると、corticosteroidまたはそれにcyclophosphamideを追加する治療が主体であり、初期の血漿交換は有効ではない、とある。ガンマグロブリンの静注は1990年代に数件のケースレポートがあるのみでエビデンスとして確立していないことがわかった。


研修医と一緒に仕事をするときにはDynaMedを入れたiPadを持ってゆく。その施設でWIFI接続ができると文献にも当たることができる。研修医と様々な疾患を抱える患者さんについて話をするとき、指導医には大変便利なツールである。

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