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ニポポ代表理事ブログ---- 総合診療医を目指す皆さん、北海道の自然を満喫しながら研修をしてみませんか。
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  9月15日、札幌医科大学においてニポポ・スキルアップ・セミナーが行われた。講師は勤医協中央病院の田村修先生である。参加者は11名。「日常診療で使える動機付け面接法(MI)」はスキルである。
動機の3つの要素は、準備、意志、能力(ready, willing, and able)である。
行動変容の5段階(proshaska):無関心期、感心期、準備期、抗動期、維持期。自信度と重要度を評価する(0-10の10段階で)。
Motivational Interviewing(MI):ミラー、ロルニッツによって開発された対人援助理論。理論は次の3つの理論を基盤としている。1)精神分析理論:両価性の理解、2)クライアント中心療法(ロジャース):共感的応答、3)認知行動療法:ソクラテスの質問法。アンビバレントが鍵。人間関係に影響される(動機は面接者の態度や方法に影響される)。「変わりたい、しかし変わりたくない」と考える。「逆説的反応」を利用する。ソフトに直面化する方法である。本人の口で話してもらう。目的を選ばない。
基本的態度:1)共感性、2)暖かさ、3)誠実さ。「寄り添う気持ちが大切」。
原則:1.共感的応答。受容と同意。ポーカーフェース。謙虚に聴く。解釈の押し付けをしない。2.矛盾を広げる。変化の重要性、懸念の感情、変化の願望、変化の自信を呼び覚ます質問。3)抵抗に逆らわず抵抗とともに進む。抵抗はドラマの幕開け。焦点を移す、視点を変える、枠組みを変える。4)自己効力感を育てる。
5つの方法:OARS
O:Open question(開いた質問), A:Affirm(認めて肯定), R:Reflective Listening(オウム返し), S:Summarizing(要約)+ Change talk(本人が語るときを逃さない)。レジスタンス・トークには反応しない。
面接者が陥りやすい落とし穴:質問攻めで考えさせない、直面化を迫って否認させてしまう、反対の立場に立たせる、本人の意思を引きださない、機が熟す前に拒絶される、非難する態度で委縮させる。
面接のコツは、相手より話は短く、開いた質問で、振り返りを多くすること。
ここでプチ・ロールプレイ。一人は権威的スタイル。もう一人はMI的面接スタイル。傍からロールプレイを見ていて一方的に解決法を述べるだけの権威的スタイルが有効でないことが分かった。患者役はMI的面接スタイルは慣れないため言葉に詰まることもあったが、アイデアを話しやすく、自分自身に自信がつくという感想であった。

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 7月21日、札幌医科大学において三水会が行われた。参加者は12名。
 若林崇雄医師が司会進行。山本和利がミニレクチャーを2つ。地域基盤型教育、糖尿病性腎症。
振り返り5題。
30分後に研修医の講演が組まれているときに救急外来を受診した40歳代男性。先輩医師より診療を依頼される。仕事中の呼吸困難。過呼吸。胸痛なし。心電図のII,III, AVfでST上昇。不安定狭心症から急性心筋梗塞として3次病院に搬送。途中、VFを2回起こす。Clinical pearls:若い男性の過呼吸では基礎疾患を探すこと。胸痛がなく、呼吸困難だけの急性心筋梗塞があること。致死的疾患を除外するための努力をすること。参加者から様々な意見が出た。
40歳代男性の左胸部から背部痛。圧痛あり。筋肉痛を疑う。同伴者から胸部の異常音について言及され、精査の結果、慢性気胸、胸水。病歴だけによる診断の難しさ。身体診察所見の重要性。
患者本人が自宅へ帰りたいが、家人が入院を望む緩和ケア患者への対応。患者・家人への説明の難しさ。在宅ケアの不安(痛みへの対応。急変時の対応)。適切な説明ということが以外と難しい。退院することなく病院で死亡。外出もできず患者本人の希望が叶えられないままであったことがとても残念。参加者の意見:研修医は相手の患者のことを考えながら自分の感情を述べている。自分を患者さんに重ねて見てしまっている。入院適応でなくても家族の希望を尊重すべきか。緩和ケアはドラマ作りである。「介護の抱え込み」防止を考える。地方の在宅介護者の1/4がうつ状態である。町の介護力がシステムとして貧弱である。
 
初期研修医の報告。過換気症候群の16歳女性が救急車で受診すると一報が入った。患者さんを見る前の間、いろいろなことを考えた。患者が来てみると以前に小児科で受け持った患者さんであった。発作を頻回に起こしている。じっくり話を聴くことで患者を落ち着かせた。前医に対する不安を軽減させ、直前研修したばかりの他院精神科の外来受診にうまく繋げることができた。スーパーローテーションの利点を生かすことができた。参加者から:患者が自分の気持ちを主治医に伝えることは難しいので主治医に手紙を書く。母親と小児患者はセットで考える。
 
ニポポ卒業生から医療を哲学的に俯瞰。村上春樹の言葉「高くて硬い壁」に対して「卵の側に立つ」に共感。ミッシェル・フーコーの言葉「種の医学」「病の解読のための場所が必要」「医師は肉体を癒す」「正常の確立=異常の排除」「戦争と虐殺」などを解説してくれた。
 
「総合内科って何」という研修医が行った一般市民向けの講演内容を解説。専門医は専門分化し、それ以外は専門外。専門以外を診ない傾向にある。総合内科を志す医師は少なく肩身が狭い。総合内科医は、「専門外」と言わない。
 
日本の明日の医療を担うために、我々総合医が頑張らなければ!

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 9月4,5日、第6回ニポポ指導者養成講習会を企画し運営を行った。受講者は16名(3グループ)。タスクフォースは7時に集合して打ち合わせ。8時開始。責任者として山本和利の挨拶後、偏愛マップを用いたアイス・ブレーキングで和んでもらった。最初は江別市立病院の阿部昌彦先生から「臨床研修制度の現状と問題点」のWS。ここ3年、北海道の研修医数は少しずつ減少傾向と報告。各施設の現状紹介後、KJ法で各グループから対策を出し合ってもらった。
続いて勤医協中央病院の尾形和泰医師の「学習のプロセス」のWS。あまり理論的な面を強調せず、研修医教育に必要な概念をコンパクトに講義してくれた。特にRUMBAを強調(real, understandable, measurable, behavioral, achievable)。
午前の最後は北大病院の宮田靖志医師の「プロフェッショナリズムの教育」のWS。その必要性を強調。SEA(significant event analysis)を参加者に書いてもらい、グループで共有した。最後に製薬会社との関わりについて触れた(便宜提供の関係を断つ)。
昼食前に全体の集合写真撮影。
昼食後、松前町立松前病院八木田一雄医師主導による「上手なフィードバックをしよう」は、はじめに実情と理論を講義。(アンケートによると、指導医は60%の研修医に問題を感じており、研修医は80%の指導医に不満を感じている)。3人一組でのロールプレイは研修医役、指導医役、評価者役をそれぞれ1回ずつ(緊張しやすく技術が未熟な研修医、当直明けで眠気を堪えて外来研修を受ける研修医、問題をあちこちで起こすのに自信満々の研修医の3シナリオ)。60分間、皆さん役になりきって熱演していた。
勤医協中央病院佐藤健太医師の主導で「SNAPPS法:研修医のレベルを5分で診断」のWS。RIMEモデルを解説(Reporter, Interpreter, Manager, Educator)。研修医のレベルをreporterからinterpreterに成長させる。SNAPPS法とは、Summarize H & P(3分で発表), Narrow the differential(3つのい絞る), Analyze the differential(根拠を比較する), Probe the uncertainties(不明点を質問する), Plan management(プランを検討する), Select case-related self-study(宿題を決める)、の6段階で指導するやり方である(6分間で終える)。新型インフルエンザ大流行時、1歳女児、発熱というシナリオを3人一組でロールプレイ。
札幌医大の寺田豊医師の主導で「地域診断を利用した地域医療研修教育」のWS。持続可能な臨床教育が重要。その地域診断ツールを9つ紹介(0. Community on foot, 1.Social mapping, 2. Genogram, 3. Community Organization Chart, 4. Local Health Systems, 5. Community Calendar, 6. Local History, 7. Life Stories, 8. Photo Voice.)。最後に地域医療研修の1カ月カリキュラムを、松前・富良野等特定地域を想定して作成してもらった。
夕食前に北海道庁鈴木隆浩主幹の「北海道の地域医療の現状と臨床研修」という講義を頂いた後。情報交換会。
2日目。勤医協中央病院の尾形和泰医師の「卒後臨床研修評価」のWS。臨床研修に関する書類が配布され解説が行われた。
続けて勤医協中央病院臺野巧医師の主導で「実践的な教育の評価」は、3シナリオを準備していずれか1つのシナリオに沿ってロールプレイを行った。最初に初期研修医評価のための指導医会議(指導医2名、看護師長1名、看護主任1名、ソーシャルワーカー役1名)を模擬体験した。ACGMEで開発されたモデルに基づいて6項目について評価をしてもらった(患者ケア、医学知識、診療に基づいた学習と改善、コミュニケーション技術、プロフェッショナリズム、システムに応じた医療)。
札幌医大の寺田豊医師の主導で「ティーチング・パールを共有しよう」のWS。参加者各自が得意ネタで10分間講義をそのやり方へのフィードバックを行った。
最後に総括として、参加者の感想をもらい、終了証を手渡して解散となった。
参加者のほとんどが満足し、明日から実践したいという意見が多かった。タスクフォースのまとまりも強化される。年に1度は開催してゆきたい。(山本和利)

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 8月21日、今回は土曜日であるがニポラーが研修している富良野協会病院に出向いて三水会が行われた。参加者は、院長、事務長、研修委員長、看護部長、外来婦長、病棟婦長、ナース、初期研修医、旭川医大生等々、計25名。
午前中、外来患者について研修医の指導。突然怒り出すということで外来ナースの評判最悪の患者や発熱・頭痛で髄膜炎疑いの患者さんなど様々。
会に先立ちニポラーに対する360度評価を院長、副院長、研修委員長、看護部長、外来婦長を入れて行ったが、評判は良好である。小休憩後、三水会に移行した。まず、山本和利が「総合診療とは」というタイトルで1時間講演をした。講演では住民・患者のニーズに医師自身が変容して応答しようとするのが総合医であるということを強調した。しっかりと聴いてもらっているという雰囲気が伝わってきたので一安心。そして、大門伸吾医師が司会進行でカンファランス開始。腰痛あり、骨そしょう症があり、新鮮な圧迫骨折で救急受診した80歳代女性について検討した。嫉妬・被害妄想で家族に愛想を尽かされている。家はごみ屋敷化。精神科で門前払い。市からも見放された。妄想性障害と妄想性人格障害について概説。入院後、出張の精神科医に相談。療養型施設を紹介し受諾。適切な距離を自覚して信頼関係を築くことができた。「患者さんとの適切な距離をどうとったらよいのか?」「背景を重要視するカンファで、興味深かった」等の意見が出された。もう一例、富良野協会病院の高齢男性患者さんの緩和ケア・家族指向性・対応の難しい家族について検討。院長、研修委員長、ナースの方々は積極的に参加してくれた。
終了後、丘陵にある眺めの良いワインハウスでビール・富良野ワインを飲みながらのバーベキュー大会。病院スタッフと懇親を深め、23時帰宅。(山本和利)

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8月7-9日、群馬県ヘリテージ・リゾートで行われた「家庭医療夏期セミナー」に参加した。
8月7日、到着早々、今回の講演者として来ていた自治医科大学同窓の尾身茂氏とたまたまお会いし、現在の医療状況を打開するための案について話し合うことができた(医療の在り方を提案する「医療改革国民会議」なるものの立ち上げを検討中とのこと)。
温泉が有名ということで数人と出かけたが、部屋から大浴場まで10分ほど歩かなければならないほどの広大な敷地である(それほどの田舎とも言えるが)
21:00よりmeet the expertsと称した懇親会である。学生のムンムンとした熱気でむせかえる中、車座になって学生との語りあいが始まった。途中、参加した日本プレアイマリ・ケア連合学会理事一人ひとりに挨拶が求められた(理事には選挙中の候補者のように名前の書かれたタスキが用意されていた)。選挙演説のように赤い顔をして長く話す人、歌いだすひと、様々である。今回は特に女性の参加者が目立った。車座での話の中で、第一声が「へき地医療をやりたい」という女子学生の言葉はうれしい驚きであった。少し元気をもらった。途中、200名を超える参加全員での写真撮影は圧巻であった。整列に10分ほどかかったが、笑顔を合言葉にパチリ。撮影者は札幌医大学生の丸山君。熱帯夜、会はまだまだ続く・・・。
8月8日、午前中は様々な人と情報交換。午後、後期研修プログラムとしてニポポを紹介した。7名の方々と話ができた。これを機会に情報交換を続けてゆきたい。
会は月曜まで続くが、私は仕事関係で会場を後にした。

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北海道の地域医療を支える総合診療医の養成を目指す後期研修プログラム「ニポポ」を支える北海道プライマリ・ケアネットワーク代表理事のブログです。
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