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ニポポ代表理事ブログ---- 総合診療医を目指す皆さん、北海道の自然を満喫しながら研修をしてみませんか。
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 「北海道プライマリ・ケア ネットワーク定期総会」

423日、札幌アスペンホテルにおいて2011年度の第一回理事会と定期総会が行われた。2010年度の活動報告、決算報告、2011年度の事業計画、予算案が承認された。役員選挙がおこなわれ新たに5名の理事が選出され、1名が退職に伴い辞任された。引き続き代表理事は山本が、副代表理事は佐古先生、田村先生が互選された。

続いて第4期生の研修発表会が行われた。ある研修医。1年間で141名を担当し12名が死亡。膿胸の患者。改善なく積極的治療から撤退。どうすれば良かったのか悩んだ。78歳のCOPDの患者。好酸球増多あり。専門医が受けてくれない。試行錯誤しながら対応。たまたま軽快。一過性好酸球性肺炎であった。時間外に発熱で受診した63歳男性。10年前、悪性リンパ腫、MDS。数日前まで肺炎で入院していた。目のかすみとふらつきで受診し、低ナトリウム血症があり、補液で対応。一般外来で輸血と感染コントロールで対応。徐々に全身状態が悪化。あらたに進行胃癌を発見。数か所に転移。告知後、自宅療養を希望。1ヶ月後に再入院。泣きながら胆汁性嘔吐を繰り返す。「無地正月迎えたら一緒にお祝いしましょう」というこの研修医の言葉が患者を勇気づけたようだ。最後は毎日家で過ごした。元自衛官の患者は手で敬礼をしてお別れをした。その後、奥さんが訪ねて来て感謝の言葉を述べられた。

指導医からのフィードバック:彼は、陰で他人に見えないところで頑張っているという評価であった。

 

ある研修医。2年目の1年間で150名を担当し、10名を看取った。今は地域医療を経験したい。今回は、肺がんターミナル患者と家族への対応について発表。発熱、咳、膿性痰。抗菌薬で改善。自宅退院は自信がないという理由で、自宅介護より施設介護を家族から提案された。人的資源の活用を提案したが受け入れられなかった。調整中に病状が悪化し死亡された。在宅医療について考える契機となった。「介護負担」「介護方法」「介護の抱え込みを防ぐ」「経済的問題」「医療者の適切な支援」等、在宅死について考察した。

指導医からのフィードバック:彼は、様々な問題を抱える患者を落ち着いて診てくれたし、診療録を非常にしっかり記載されていた。

 

6期生へのオリエンテーション。最初に「ニポポ」研修の概要について山本が説明し、各自にiPODを贈呈。その後、研修医を受け入れてくださる4施設(江別市立病院、勤医協中央病院、松前町立松前病院、三意会我妻病院)から研修内容、スケジュールの発表があった。

 

最後は第6期生の歓迎レセプションが行われた。参加者全員からエールが送られ、それを受けて6期生から研修に向けての決意を述べられた。理事会からレセプションまで参加すると8時間の長丁場であったが、充実した時間を過ごすことができた。(山本和利)

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d0dcd626.jpeg420日、札幌医科大学において今年度最初の三水会が行われた。参加者は14名。大門伸吾医師が司会進行。初期研修医:3名。後期研修医:5名。他:6名。

最初に、ニポポの研修評価について山本がスライドを使って紹介した。続いて参加者全員が自己紹介をした。新規ニポラー3名。人間科学、分子生物学を研究していた医師。北海道に住むことに憧れていた元刑務官の医師。農学部出身の農村医療に興味を持つ医師。

研修医から振り返り3題。

ある研修医。小さな病院。高齢化率33%。某政治家の力の影響で設備は整った町である。ゆっくり病院業務に慣れているところである。往診は今後入る予定。 

症例は強い間欠的腹痛、下痢で受診した6歳の男児。前日から黄色の下痢便。浣腸したら血液混入。便培養、ウイルス検査をされて入院となった。比較的元気であるが、痛みだすと泣き出す。筋性防御なし。6歳としては腸重積の可能性は低くなるが、やはり腸重積を疑い、超音波検査を行った。腸重積と診断し、ガストログラフィンで高圧浣腸を行い整復した。この後、90歳の腸重積症例に出会った(先進部が大腸癌)。

振り返り:腸重積は2歳未満が多い。3兆候は「間欠的腹痛」「嘔吐」「血便」である。3つ揃う場合は10-49%Common diseaserareケースを見逃してはいけない。見逃さないためには浣腸と腹部単純XPが大事。

クリニカル・パール:「年長者の腸重積は、必ず器質的疾患があると考えるべし」

 ある初期研修医のSEA。1歳の女児。血便で「出血性腸炎」として紹介された。エコーでtarget sign, pseudokidney signがあり、注腸して最終診断は腸重積となった。紹介の医師の手紙からはじめから腸重積を除外していた。自分で考える習慣をつけることが重要であると思った。

クリニカル・パール:「前医の診断を鵜呑みにしない」

 ある研修医。2年目研修で141名を担当し12名が死亡。記憶に残る患者。時間外に発熱で受診した63歳男性。10年前、悪性リンパ腫、MDS。数日前まで肺炎で入院していた。目のかすみとふらつきで受診し、低ナトリウム血症があり、補液で対応。一般外来で輸血と感染コントロールで対応。徐々に全身状態が悪化。あらたに進行胃癌を発見。数か所に転移。告知後、自宅療養を希望。1ヶ月後に再入院。泣きながら胆汁性嘔吐を繰り返す。「無地正月迎えたら一緒にお祝いしましょう」というこの研修医の言葉が患者を勇気づけたようだ。最後は毎日家で過ごした。元自衛官の患者は手で敬礼をしてお別れをした。その後、奥さんが訪ねて来て感謝の言葉を述べられた。「自分はたいしたことをしていないのに、患者さんは感謝してくれた」

 このような患者さんに主治医機能を発揮しながら研修を続けている二ポラーを心強く思うカンファランスであった。 

(山本和利)

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  「第三期生:ニポポ終了式」
319日、NPO法人北海道プライマリ・ケアネットワーク後期研修プログラム「ニポポ」第三期生の研修修了式が行われた。代表理事である山本が東北・関東大震災による日本の混沌とした状況に触れた後、開会挨拶と祝辞を述べた。修了者の濱田修平さんが3年間の研修の振り返りを行った。その後、修了証書授与および記念品贈呈(電動フォトフレーム)を行った。「地域こそが最先端!」と「絆」と山本が書いた二枚の色紙を手渡した。その後、祝賀会に移り、乾杯の挨拶を理事である木村眞司先生にいただいた。フランス料理を食べながら研修受け入れ施設であった江別市立病院と留萌市立病院の両院長よりお言葉をいただいた。参加者全員からテーブルスピーチがなされたが、ほとんどが頑張り過ぎるほどの濱田先生の活躍についてであった。それを受けて修了生より感謝の気持ちと今後の抱負の詰め込まれた挨拶が一人一人に対してなされた。 最後に理事である梶井先生 が閉会挨拶をされ、全員で記念撮影 を撮って散会となった。濱田先生は4月から江別市立病院の総合内科に所属し、診療と教育に従事される予定である。震災後の暗い雰囲気を吹き飛ばしてくれるような素晴らしい会であった。

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 「外来感染症診療」

aeb9c5a4.JPG39日、札幌医科大学においてニポポ・スキルアップ・セミナーが行われた。講師は勤医協中央病院総合診療部の川口篤也先生である。趣味はバンド活動。テーマは「外来感染症診療」で,参加者は18名である。

まずは質問から。問題を提示して、研修医や学生に訊いてゆく形式である。

風邪に抗菌薬は必要か?「原因はウイルスなので不必要」

風邪の診療は簡単か? 楽しいか?「楽しめない」「本当に風邪か」

そもそも風邪とは?「上気道の急性カタル性炎症性疾患の総称」(カタルとは、鼻閉、鼻汁、咳、咽頭痛などの症状)80-90%がウイルス性。風邪とは、患者自身が「風邪だと思う」と言って受診する症候群である。それゆえスペクトラムが広い。狭義の風邪には抗菌薬は必要ないが、風邪症候群には抗菌薬を処方する場合も不要な場合もある。風邪疾患における医師の存在意義は、他疾患の鑑別・除外である。

「風邪診療は新しい出会いの始まりである」という側面もあり、予防医学的な介入を現実的な範囲で行える。

鑑別疾患を考えてみよう。

症例139日、30歳男性。発熱、倦怠感。インフルエンザを心配。38.5℃。咽頭痛、咳。PR;100/mSaO2;97%, 警部リンパ節腫大なし。インフルエンザ迅速検査:陽性であった。

「インフルエンザ様疾患」;悪寒(LR;2.6)、高熱(LR;5.4)、筋肉痛、倦怠感、頭痛)、冬はライノウイルスが多い。くしゃみがあると否定的(LR;0.47

症例230歳女性。発熱、咽頭痛、咳がないと。CVA圧痛あり。

「尿路感染」であった。気道症状のない発熱に安易に風邪と言ってはいけない。

症例330歳男性。発熱、膿性鼻汁、頭痛。頭の前の方が痛む。下を向くと痛みが悪化。随膜刺激症状なし。

「急性副鼻腔炎」:二相性の症状。後から頭痛。片側性の叩打痛。Waters撮影。CTをTorと風邪患者の87%に異常あり。最初から抗菌薬を使う必要はない。起炎菌:肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、モラキセラ。ペニシリン内服。中耳炎も同じ考え方。小児は耐性菌が多い。

症例4.発熱、咳、呼吸苦。下肺野に吸気時crackle聴取。

「肺炎」。Heckerlig score:喘息がない、37.8℃以上、HR>100/m, 呼吸音減弱、crackle,の5項目を評価する。重症度は、意志障害、呼吸数>30/m、収縮期血圧<90mmHg、脱水、年齢(65)で判断する(CURB-65)。市中肺炎には、はじめからキノロンは使わない。ペニシリン、アジスロマイシンをお勧めする。なぜなら、キノロンは結核にも効くので、診断が不明確になる。緑膿菌に効く唯一の経口薬だから、温存したい。

症例5.発熱、咽頭痛。両側扁桃腺腫大、白苔あり。頚部リンパ節が腫大。

「急性咽頭炎」伝染性単核球証。咽後膿瘍、扁桃周囲脳炎、急性喉頭蓋炎、Lemierre症候群,ジフテリア。ウイルス性が多い。

Center Score;38℃以上、警部リンパ節腫脹、扁桃浸出物、咳がない、15歳以上は1点、45歳以上はー1点。2点以上で迅速溶連菌検査を。溶連菌患者に濃厚接触した場合は、治療を。

講師の川口先生から次のようなフィードバックをいただいた。「今回は学生から研修医1年目でもわかるようにという観点で作成しましたが、医師の方にとっては物足りない内容だったと思います。学生にとって難しい内容でも最初から後期研修医向けと話していれば、それは了解可能な範囲となり、それでも参加すると面白いことがあると思って学生さんが参加してくれれば嬉しいですね。個人的にはターゲットについては初期・後期研修医向けとするのが妥当と感じます。」

今後はターゲットを明確にして開催してゆきたい。来年度の企画は小児科疾患と整形外科疾患を予定しているが、今回、整形外科疾患企画予定者の徳洲会病院の森先生がわざわざ参加してくださった。来年度もお楽しみに!(山本和利)




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 3月の三水会」

39日、札幌医科大学において三水会が行われた。参加者は10名。大門伸吾医師が司会進行。体調不良で発表予定者が1名欠席。

振り返り5題。99fb995a.jpeg

田舎の病院から中都市の総合病院へ移っての感想。

・限られた中での検査や投薬から即日結果が出る医療へ

・患者中心からスタッフ中心に

・言葉から紙のコミュニケーションに

・車の移動からJRでの移動に

・明確なトップダウンから曖昧なトップダウンに

・外来は閉院した開業医の先生の患者さんを引き継ぐ

・内科の予約外は派遣会社からの先生が主に診療(3年目から15年目)。能力、専門科もまちまち。高収入。(来年度から派遣医師の受け入れ中止)

・高齢者の肺炎、尿路感染、出張の呼吸器内科、耳鼻科の患者、皮膚科の入院。

・脳卒中の急性期後のリハビリ

・老衰やCPA

・内科を循環器科と消化器科が診て、それ以外を総合内科が診ている。

 

ある研修医。小児科研修3月目。1年間の総括。一人であったらどうなったことか。三人いれば発展がある。観光地である展望台にも島にも行けなかった。肩・腰・膝の診療ができるようになった。関節注射ができるようになった。骨折に対応ができる。子供診療に慣れた。新患外来、慢性期患者の再診、救急対応、上部消化管内視鏡を担当した。個人的には手応えを感じた。仕事はそれなりにこなして、一般内科医をやっていけるという自信がついた。実力不足を痛感した。困ったときもっと医療スタッフに相談すればよかった。倫理カンファもしたかった。目の前の仕事以外のことができなかった。北海道に来てよかった。充実した1年間であった。

 

ある研修医。研修施設の運営に関し改善を求めた事例。療養病床の運用基準。院内からの転科のみ。退院後の療養先が決定している患者。運用が40%なのに基準を満たさず受け入れてくれない。1床受け入れで15,000円増える。30床の空床を埋めると15千万円の増収となる。運用病床の基準を改められた。利用率は60%に上昇。

1年間を振り返って、忙しすぎた。160名の病棟患者を担当。自分自身の限界がわかった。自己研鑽、教育の重要性を痛感した。

 

1年目研修医。CPCでの報告。83歳男性。高血圧、高脂血症、高尿酸血症。CAGB術後。今回AAA術後のリハビリ目的で入院。下痢、嘔吐。発作性上室性頻拍。CTで胸水。左下肺野にラ音。肝腫大。BUN:49,UA:13.5BNP;3490CTR:64%、心エコーでMR,TR。VTとなり除細動をかける。治療に奏功せず死亡。

甲状腺のクリーゼの可能性は? ウイルス性劇症型心筋炎は? 心筋梗塞?

剖検診断:バイパス血管(静脈)の血腫による閉塞(梗塞)を起因とするVT。とすると、下痢の説明ができるのかという疑問あり。

 

産休・育休中の研修医。赤ちゃんは5ヶ月。ママ友ができた。集団予防接種に呼ばれた。体温計を渡されBCG接種。30分間はその場で経過観察。接種部位の自然経過についての説明がなかった。副反応としてのリンパ節の腫大やコッホ現象(接種後の強い局所反応)の説明もなかった。

結核予防法の改正により次のように変わった。ツ反の廃止。生後六ヶ月未満に変更となった。乳幼児期の1回だけの直接接種。

接種に関わる医療者がやり方を本当に理解しているかどうか不安がある。

 

皆それぞれに日々学んでいることを実感した振り返りの会であった。(山本和利)

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