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ニポポ代表理事ブログ---- 総合診療医を目指す皆さん、北海道の自然を満喫しながら研修をしてみませんか。
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「感染症:違いがわかる大人になるために」

 

119日、札幌医科大学においてニポポ・スキルアップ・セミナーが行われた。講師は勤医協中央病院の石田浩之先生である。テーマは「感染症:違いがわかる大人になるために」である。参加者は18名である。

「入院の感染症について」問題を提示して、研修医や学生に訊いてゆく形式である。

診療の枠組み:臓器、細菌、抗菌薬の3つを考慮する。

「紛らわしい偽物たち」を区別できるなることを目標とする。4パターンを提示された。

最初に問題を表示し、最後に解答を掲載するので、時間のある方はじっくり考えてから後半を読んで欲しい。

1.下痢+嘔吐+発熱。

・冬、35歳男性。都市に在住。インフルエンザ様症状。家族内に同様の症状の人はいない。感染性腸炎として補液。翌日、息切れを自覚。数時間単位で悪化。軽度頻脈。頻呼吸。クラックルあり。

2.腹痛+高熱+下痢

50歳男性。ノロウイルスを疑う胃腸炎が流行。家族も同様の症状。高熱、腹痛、水様下痢が加わった。発症前の2-5日に鶏肉を摂取していないかどうかを訊く。生に限らない。

3.湿性咳+高熱。

75歳男性。独居。脳梗塞の既往。嚥下障害。未治療で高熱が時折。肺野にクラックル聴取。XPで肺炎像。ヴァイタル・サインは安定。

4.頻呼吸+高熱。

75歳女性。急性腎盂炎を5回。4-5日前に排尿時痛。倦怠感。悪寒戦慄。乾性咳。意識清明。クラックルなし。酸素化障害がある。恥骨直上に圧痛。右CVA叩打痛あり。

 


解答編

1.診断は「レジオネラ肺炎」である。消化器症状が先行する。

・呼吸器症状がないこともある。肺外症状:意識障害、胃腸症状、横紋筋融解などが重要。温泉への暴露。腐葉土(ガーデニング)。土を扱う時には手袋・マスクで予防すること。

2.診断は「キャンピロバクター腸炎」である。

   ・憩室炎、虫垂炎(子宮外妊娠、卵巣捻転、PID)と間違えられる。鶏肉を食べる時期に多     い。サルモネラは熱を主に訴える。

3.診断は「肺膿瘍」である。

   ・肺炎とすると合わない点。「全身状態が好過ぎる。」未治療の割に酸素化が悪くない。   画像とヴァイタルサインが釣り合わない。よくなりきらない。起炎菌は幅広い。

4.診断は「腎盂炎」である・・・(答えに幅がある)。この症例は菌血症の一般的な経過である。菌血症にによる酸素障害である。研修医は肺炎と言いやすい。

 講演者が雪の影響で到着が遅れたため、待ち時間を使って次回の講師の川口先生にアドリブで前説をしていただいた。次回の39日の講演テーマは「外来診療における感染症」である。格言「抗菌薬は医師自身の安定剤ではない」「抗菌薬は解熱剤ではない」。(山本和利) 

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