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ニポポ代表理事ブログ---- 総合診療医を目指す皆さん、北海道の自然を満喫しながら研修をしてみませんか。
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7月3日、日本プライマリ・ケア連合学会の学会賞(日野原賞)、大会長賞、北海道プライマリ・ケア功労賞の授与式に参加した。

 学会賞は、一般口演の中から学術面で優れた発表に与えられる。「在宅高齢者における発熱リスク実態調査(5施設合同前向きコホート研究)で横林賢一氏が受賞された。

 今回から新設された大会賞は地域・都市部を問わず、プライマリ・ケア診療に従事する実地医家を対象に、現場から生み出されたリサーチ・クエスチョンに基づいた現場に還元できる優れた臨床研究に与えられる。「白血球数とCRP値は成人市中肺炎の重症度や予後と相関しない」で片岡義裕氏が受賞された。 

北海道プライマリ・ケア功労賞は、開催地のプライマリ・ケアの充実に多大な貢献をされた者に授与される。現在ネパールで活躍中の楢戸健次郎氏が受賞された。

田坂賞は、我が国の家庭医療の発展に貢献しながらも若くして亡くなられた田坂佳千先生を顕彰するため設けられた賞で、日本の家庭医療の質の向上、普及、生涯教育に貢献した者を表彰する。何と、山本和利に与えられた。

閉会式の中で授与式が行われた。田坂賞受賞は、これまで私を支えてくれた教室員と道内の地域医療ネットワークの関係者のお陰である(もちろん妻にも!)。この場を借りて感謝を申し上げます。

 

 

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615日、札幌医科大学においてニポポ・スキルアップ・セミナーが行われた。講師は江別市立総合病院小児科の梶井直文院長である。テーマは「プライマリ・ケア医の乳児健診・発達健診」で,参加者は22名である。

 

<現在的意義>

1955年:疾病の早期発見・早期治療

1990年~:こころの健康

2001年~:「健やか親子21」→育児支援

乳幼児健診の役割

・発達障害の早期発見・支援

乳児健診(先天性疾患、脳性まひ)→16カ月(重度精神遅滞、自閉症)→3歳時健診(中等度精神遅滞、自閉症)→就学前発達相談(注意欠陥多動性障害, 学習障害, 等)

<ポイント>1)子どもの成長には個人差が大きい。2)定期的な経過観察が必要である。3)母親に不安を与えない。4)母子手帳、成長曲線、発達検査(円城寺式・乳幼児分析的発達検査表)の活用。5)十分な事後健診、小児神経科医、児童精神科医に紹介。6)育児支援システムを知っておくことが重要である。

1)身長・体重・頭囲の成長のチェック。①成長曲線を利用する。頭囲の大きい患者。親も乳児期に頭囲が大きかった。「家族大頭症」(両親の乳児期の写真を見る!)②肥満度曲線を利用する。3歳児健診では重要。+50では肝機能障害がでる。(ジュースを控える)

2)身体疾患に注意した診察

3)運動発達についての神経学的検査を取り入れた診察。脳性まひの原因は出生前・周産期が80%

4か月健診のチェックポイント①頚定、②笑い反応、③追視、④喃語

7か月健診のチェックポイント①寝返り、②座位、③おもちゃの持ち返る、④人見知り、側方へのパラシュート反射

10か月健診のチェックポイント①這い這い、②つかまり立ち、③小さなものを指でつまむ、④イナイイナイバーのまね、前方へのパラシュート反射、聴力検査が重要!(早期に内耳手術が可能である)

いざり這い乳児(shuffling baby)坐ったままいざって移動する。独り歩きが遅れるがその後の発達は順調。家族歴がある(40%

16か月児健診のチェックポイント①歩く→小走り、②一語文→二語文。

3歳児健診のチェックポイント①片足たち、両足飛び、②三語文→会話。円城寺式・乳幼児分析的発達検査表を活用する。「言葉は知恵の窓」である。

軽度発達の問題→問題の顕在化→学校不適応・心身症→社会への不適応

軽度発達障害児が5歳児になって発見される率が高い。5歳児健診の必要が叫ばれている。

フロアから、「成長・発達に問題がある子が来ない。虐待が隠れていないか。」等の質問がだされた。梶井先生はこれまでの健診業務について、「チームで診ることが大切。スタッフに育てられた。」と振り返っておられた。

次回720日は「小児科救急」、次々回921日は「小児科感染症」を予定している。

(山本和利)

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12日、当日、夏服にして自宅をJRの一番バスに間に合うように出発。車輪の上に作られた極端に足を挙げて座らなければならない座席に陣取る。JRの列車に乗ってから、JRバスに携帯電話を落としたことに気付く。
予約の飛行機に間に合うように祈りながら公衆電話でテレフォンカードを使って、携帯電話の落ち着き先を探すことになった。朝が早いので営業所は留守電対応。羽田空港でやっと携帯が営業所に届けられていることを確認。出足から気が重くなる展開である。

会場のビックサイトでニポポプログラム事務局の日光さんと研修医の敦賀医師と合流。12時開始から1時間、一人も来訪者なし。勧誘用のテッシュペーパーも手渡せない状況。合間の時間に各ブースを訪ねて知り合いの指導医たちと情報交換をした。そのうち、沖縄・鹿児島の研修医が訪問してくれた。15時ころ東京の某大学研修医4名がまとめて訪問。

最終的に8名の研修医、1名の医学生の訪問があった。例年に比べて総合診療を志向する研修医が増えている印象を持った。今後は彼らにアプローチして病院見学に北海道に来てもらえるように働きかけていきたい。(山本和利)

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  612日、江別市立病院で行われた「長崎大学感染症内科の土橋佳子先生による呼吸器内科に強くなるカンファランス」に参加した。18時から参加した。はじめに参加者の自己紹介から始まった。院外から私を含めて3名が参加した。年寄りは私と江別市立総合病院の梶井院長。

2
つのチームに分かれて内容を披露し合う形式。参加型ディスカッションである。

 
症例

胃がんによる胃全摘出、結核による胸郭形成術の既往のある70歳代男性。12kgの体重減少。微熱と右顔面・両下肢の腫脹を主訴に紹介となった。

鑑別診断:「結核、悪性腫瘍、肝硬変、腎不全、膠原病、上大静脈症候群、蜂ヶ識炎、糖尿病」等が挙がった。

現病歴:4か月前から右顔面・両下肢の腫脹。その後、咳、微熱。12kgの体重減少。
 

既往歴:狭心症、甲状腺機能低下症(チラジン内服中)。喫煙20/日。陰性所見を沢山挙げて、その情報から疾患を除外することを強調していた。

鑑別診断ランキング:①悪性腫瘍(悪性中皮腫、悪性リンパ腫、上大静脈症候群)、②結核、③膠原病となった。

 
身体所見:右肺野で呼吸音低下、fine crackleあり。遠位優位な筋委縮あり。ガワーズ兆候あり。温痛覚低下。

 
60分経ってもまだ胸部XPが出てこない。1例に90分以上かけて行うカンファランスに企画者の根性を感じる。

 前医からの情報。胸部CT;右中肺野・下肺野の胸膜肥厚・石灰化。腹部CT:転移所見なし。GF:R-Y吻合。


 ここでプロブレム・リスト作成し、それからアセスメントをした。

    結核の脊椎浸潤

    悪性中皮腫

    血管炎

ここで検査計画を立てる。
勉強会はまだまだ続く。
終了後は懇親会も用意されている。


このようにして総合医としての実力を若い医師たちが養っている。心強い限りである。

大変勉強になるので、学生や研修医には是非参加していただきたい。

 

 


最終診断は「肺結核」であった。
(山本和利)
 

 

 

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 d5817556.jpeg518日、札幌医科大学において三水会が行われた。参加者は14名。大門伸吾医師が司会進行。初期研修医:3名。後期研修医:6名。他:5名。

研修医から振り返り6題。

ある初期研修医のSEA。糖尿病と診断された70歳の女児。感冒で近医を受診。HbA1c:14%。血糖:420mg/dl。BMI:21.これまで検診で異常なし。抗GAD抗体陽性。SPIDDMの可能性もあり。SPIDDMについて発表。高齢発症のIDDMと言えないこともない。

クリニカル・パール:「糖尿病の患者をみて、すべて2型糖尿病と決めつけてはいけない。膵癌の可能性も考える。」

 

ある研修医。毎日忙しく内視鏡検査、外来、往診をしている。意識障害、痙攣の90歳女性。頻脈があり、慢性心不全がある。口から泡を吹いて呼びかけに反応しない状態で発見さらた(JCS-300)。除皮質硬直の体位。PO2:50台。痙攣が始まった。血糖、電解質異常なし。腎不全あり。PT-INR:4.6

てんかん、脳血管障害、低酸素血症を鑑別に挙げた。CTで出血なし。家族は高度医療施設への搬送を希望せず。5時間後、反応がでてきた。左半身の麻痺が顕著になった。誤嚥性肺炎の所見あり、その治療を開始。48時間後、左半身を動かすようになった。「てんかん」ということなのだろうか。仮診断:RIND + epilepsy

振り返り:「わけがわからないのでお願いします」と書いて、後方病院に搬送することは抵抗がある。何を根拠に転送を決めるのか? 病歴、身体診察だけで判断するのは難しい。

クリニカル・パール:「患者背景を考慮して、どのような対応をするか決めることが重要である。」

 

ある研修医。50歳代の1型糖尿病女性。網膜症、腎症あり。感冒罹患時にインスリンをスキップしたら高血糖になった。コントロール不良となった。調整をして改善していったが、もう少し早めに調整してあげればよかった。

入院中にコントロールがよくても、退院後にうまくゆくかは別問題ではないか。単にインスリンの打ち方だけの問題ではなく、摂取カロリーも影響しているのではないか。

 

ある研修医。79歳女性。右肘関節置換術。脳梗塞罹患。低アルブミン血症があり、腹水著明。経管栄養を開始。その後発熱が続き、XPで右肺に浸潤影? 誤嚥性肺炎と決めつけて抗菌薬・補液治療をしたが、心不全であった。思い込みをなくして、常に鑑別診断をしっかり挙げるべきであると思った。

抗菌薬を投与することは、問題はなかろう、という意見が出た。

クリニカル・パール:「診断を早期に決めつけない。」

 

ある研修医。治療と診断が遅れたイレウスの70歳代男性。自転車に乗って受診。下痢と腹部膨満感。XPでニボー像。絶食・補液で対応。CEA高値。CFで上行結腸までしか入らず。内視鏡施行医は感染性腸炎と診断し、その治療を開始した。生検の結果、癌細胞があることが判明した。

クリニカル・パール:「高齢者の遷延する下痢を見た時には、大腸癌を考慮すべきである。病態を説明できない1つの事項を大切にする。」

 

ある初期研修医。咳の続く23歳男性。アレルギー性鼻炎、喘息の既往。猫にアレルギーがあるが、猫を飼っている。季節の変わり目、布団の出し入れをした。慢性咳嗽を調べた。その原因として日本で多いのは、アレルギー性鼻炎、咳喘息、副鼻腔症候群。北海道に夏型過敏性肺炎はない。経験的には、結核、COPD,百日咳を忘れないこと。

 

こんな患者がいた。中年肥満男性に起こった咳発作後の数秒の痙攣。診断は、咳による迷走神経失神。

 

今回は、疾患の診断や治療についての考察が多いカンファランスであった。次回は感情面や患者背景などを考慮した発表がもう少し欲しいと思った。(山本和利)

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