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ニポポ代表理事ブログ---- 総合診療医を目指す皆さん、北海道の自然を満喫しながら研修をしてみませんか。
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  北海道プライマリ・ケアネットワーク家庭医専門医研修医をニポラーと呼ぶ。今回は毎月第三水曜日に開催しているニポラーのためのニポポ・ポートフォリオ発表会の様子を報告する。開催日、2月17日。
最初に、私がIan R. McWhinneyのTextbook of Family Medicineの一部からとったIllness, Suffering and Healingについて紹介した。患者の苦悩を考慮するところまで理念に入れているところが、家庭医療と内科学の違いの一つと言えるのではないだろうか。McWhinneyは癒しに必要なことで医師がすべきことが二つあるという。注意を注ぐこと(attention)と寄り添うこと(presence)である。また「貧者を喰らう国」という本(阿古智子著)から民族誌的な研究(Ethnographic study)の「エイズ村の慟哭」を紹介した。保身に走る中国官僚の実態が暴かれている。映像記録を含む写真・フィルムに対して人類学的手法をベースにして特定の民族の特徴を描き出す研究手法である(現代社会における様々な組織や集団、個人にも焦点を当てる)。最後に1月末に参加した第2回近畿ブロック後期研修医ポートフォリオ発表会の様子を紹介し、ポートフォリオ発表会に入った。
三年生から「転記ミスの多い指示簿システムを改善したケース」、「日常診療を継続しながら臨床研究を続けたケース」の発表があった。たまたま今回に限り道庁の保健福祉部より研修内容の評価のための視察があった。その方から道職員として現場で仕事をしながら研究をさせられた経験が語られ、研究経過の苦労について共感をもって評価していただいた。二年目研修医から「突然死した患者家族から医療過誤ではないかと説明を求められ、苦悩しながら説明して納得してもらったケース」、「往診を要請されたが、重症性を考慮し救急車での来院をすすめたがうまく電話でナースが伝えることができなかったケース」の報告があった。プロフェッショナリスムやコミュニケーションの観点から様々な意見が出された。個人を責めるよりも、今後の医療安全に活かすためにどうしたらよいかという視点で1時間ほど議論が盛り上がった。1年目研修医から「なにをやっても改善を認めず死に至ったケース」、「器質疾患か心理社会的問題か判別できないまま様々な病院を回っていた患者を傾聴することで器質疾患の治療につなげたケース」が報告された。報告した研修医の自己評価は思いの外低かったが、他の参加者より結果にかかわらず患者や患者家族に寄り添って傾聴することで十分に職責を果たしているのではないかという意見が大多数を占め、発表した研修医を安心させることができた。
途中休憩を挟んで14時から16時まで発表会は続いた。終了後、ピザとポテトフライを食べながら日常の世間話。一方、道庁から研修補助金を受けている研修医2名は個別面談により研修内容の評価を受けた。総合医・家庭医を養成したい北海道保健福祉部に所属している関係者にとって今回の視察は、総合医・家庭医とは何かを知る貴重な機会となったと高い評価をいただいた。

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