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ニポポ代表理事ブログ---- 総合診療医を目指す皆さん、北海道の自然を満喫しながら研修をしてみませんか。
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 4月21日、札幌医科大学において三水会が行われ、研修医4名がポートフォリオ発表会をしてくれた。富良野協会病院から卒業生の大門先生、初期研修医の齊藤先生が参加してくれた。

ある研修医は職場が変わってこれまでより時間的な余裕ができて家庭医の勉強ができているという。その研修医が「ラポール形成が艱難であった50歳のパニック障害・喘息患者」を報告した。その事例を契機に、その地区の医療への意識、経済状況を分析してみると、産業は観光、漁業である。自衛隊、公務員が比較的多く、病院職員への風当たりは強いようだ。また専門医志向も強い。あるアンケートによると地域医療に対して60%が不満を持っているという。30-50代の住民に多い。生活習慣として、塩分摂取が多く(16g/日)、喫煙率が高いことが指摘されている。この後は職場・学校へ出向いての禁煙教育や禁煙外来や地域診断を実施しることを予定していると締めくくった。この事例への他研修医からソーシャル・ワーカーの利用が提案された。農耕民族と狩猟民族とで医療文化も異なるのではないという意見も出た。地域診断の方法として寺田助教が地区のコアメンバーにアンケートをして集約してゆくデルファイ法を紹介してくれた。

診療所勤務の研修医。1年が終わったが、経営のことをよく言われる。予想より少ない赤字であった。長期勤務していたやり手看護師長が変わった。薬剤師の補充があった。子供の体調不良が続く。町内の病院が1人体制になり、その余波が大変である。このような状況の中で、「肺がんの末期患者を在宅で看取り」について報告してくれた。このような訪問診療件数が増えているが、本人家族は何を望んでいるのか。その際「在宅での輸液は必要か?」という問いが浮かぶという。心の準備に必要ではないか。「非がん患者の緩和ケアはどうあるべきか?」文献検索してみると、訴えの第一位は呼吸困難、第二位は食思不振、第三は位嚥下障害、第四位は喀痰排出困難だそうだ。事例としてはCOPD,心不全が多い。うつ評価をして、抗鬱薬の使用を検討する必要がある。オピオイド使用:6.2%。住宅での死亡13.9%2004年)。節目節目で意思の再確認。最期をどう迎えるか意識調査をする。「お家に帰ろうプロジェクト」という企画が紹介された。

整形外科と総合内科にいる研修医。病院と家を往復し、コンビニ弁当で過ごしている。整形外科の診療スタイルは思った以上に身体診察のみが多く、痛み止めでOKといった印象を持った。時間が余ると骨折などを勉強。医学全般をDVDで勉強。家庭医になるために必要なのにこれまでの研修で手薄であった領域を報告してくれた。患者教育、ヘルスプロモ-ションが不足のため、健康よろず相談、そのための勉強会を企画中。教育、研究、幼児、思春期事例も不足。リハビリテーション、メンタルヘルス、救急も不足気味。手近な目標は内科認定医を取得することに置く。

もう一人の研修医は「胃癌手術を選択した95歳男性」についてどのような選択をすべきであったかを考察してくれた。

最後に、参加者全員に労作性狭心症シナリオについて検査前確率、感度・特異度を用いての検査後確率の計算をしてもらい、医学生とどのくらい違いがあるかの対照群としてのデーター収集に協力してもらった。

 

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 4月17日、札幌医科大学においてNPO法人北海道プライマリ・ケアネットワークの第15回理事会終了後、31会員が参加して定期総会が行われた。議事を審議する中で参加施設から意見をいただいた。医師不足が深刻化しておりその解決策として、総合内科を立ち上げた話が二三報告された。それに対していくつかの病院からいかに総合内科を立ち上げてゆくかという質問も出された。総合内科を目指す医師をどう確保するかが当面の課題である。学生教育にかかわり、しっかり課題を与えて指導することが重要であることが確認された。初期研修期間中の地域医療研修とうまく連携できないか。NHKで放映が開始された総合診療医Gの話題も出た。スーパードクターに頼らない総合内科研修システムを確立し、その環境作りが大切である、総合診療科の認知度が低いがそれはパイオニアとして克服していかなければいけない、という意見も出た。一方で懇親会など楽しいことを企画する等の意見も出た。

総会終了後、研修医のポートフォリオ発表会が行われた。研修医3名の発表。「脊椎カリエス、呼吸不全、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、肺炎の患者」を生物・心理・社会的モデルで分析し、その結果家族会議を行い在宅ケアにつなげた事例が報告された。患者だけでなく家族も診ていく必要性を参加者全員で共有できた。「他院に入院紹介したのに入院せず帰宅してしまった腎臓結石・急性腎盂腎炎患者」を通じてコミュニケーション、プロフェッショナリズムについて考察してくれた。「食欲不振、全身倦怠感を訴える胃癌術後の高齢男性」についての不条理な選択を迫られた事例を報告してくれた。

席を移して懇親会が行われ、和気藹々とした中で近況報告に花が咲いた。

 

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2f46ebab.jpeg NPO法人北海道プライマリ・ケアネットワーク後期研修プログラム「ニポポ」第四期生の一人、服部晃好医師が富良野協会病院に赴任したのに伴い、43日にお世話になる病院職員の方々や、指導医の方々に集まっていただき指導・評価に関するオリエンテーションを行った。代表理事である山本の開会挨拶の後、参加者全員に自己紹介してもらってから、研修についての評価の仕方を説明した。まず始めにこの研修プログラムの目的は「北海道の地域医療を支えるリーダーとなる総合診療医を養成することであり、彼らに地域中小病院で地域指向性ケアを継続的に展開してもらうことである」ことを説明。具体的には月に1度札幌医大においてReflection(振り返り)のためにSignificant Event Analysis(SEA)を各自にパワーポイントで提示してもらい、それに対して参加者全員でフィードバックしている。現場では、受け入れ施設において最初にどのような研修内容を希望するかという学習契約を確認して、4ヶ月毎(年3回)に360°フィードバック(医師・看護師・検査技師・事務職員)をしてもらい、教育担当責任者との定期的な面談をお願いしている。そしてこの研修を3年間行った暁には家庭医専門医の受験資格が得られることを説明した。今年度より第二期生の大門伸吾医師の赴任をきっかけに総合内科が開設されるため、病医院職員からは多くの期待が寄せられた。

この後の予定として、821日(土)に富良野協会病院で出前の三水カンファを行い、道内三大学の学生や研修医にも参加してもらうような企画を行うことを確認した(参加を希望する学生さんの札幌または旭川からの旅費はニポポが負担)。

今回、北海道新聞の富良野支局記者が取材に来てくれた。後日富良野版に掲載される予定である。富良野協会病院の研修一年目、二年目医師も入れて記念撮影を撮って散会となった。地域医療を支える総合診療医を目指して頑張ろう!

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 三月第三水曜日に開催したニポポ・ポートフォリオ発表会の様子を報告する。今回は新潟大学の5年生が見学に見えたので参加してもらった。
ニポポ三年生から「複数の疾患を持つ患者(糖尿病、完全房室ブロック、心筋梗塞、心不全、腹水、腎不全)に関する前医とのコミュニケーションの取り方について」の発表があった。透析を施行しないと前医と決めた状態で紹介されたが、その後腎不全、心不全が進行した患者である。このような患者・家族にどのようにアプローチするかについて活発な討議が交わされた。別の三年生は「3年間のニポポ研修についての振り返り」をしてくれた。3年間、お世話になった3つの研修施設それぞれについて建設的かつ奇譚のない意見を述べてもらった。このような意見を活かしてプログラムがさらに向上するよう努力してゆきたい。二年生から「誤嚥性肺炎を繰り返す患者の治療選択について」の報告があった。患者の状況を説明した後、文献検索したデータを示して一般論を述べ、その後このケースについて考察し、最後にクリニカルパールとしてまとめてくれた。クリニカルパール:早期に関係者全員を集めて協議をすること、遠方から来る親戚は要注意。1年生から「複数疾患(COPD,糖尿病、心房細動等)を持つ患者のケアについて」の報告があった。いつも悩ましいケースを発表する研修医が生物医学的な面をスマートにまとめていた。さらに充実させるために患者背景とエンパワーメントを上げるための方策を考察してはどうかという意見が出された。別の一年生から「腎盂腎炎による敗血症疑い患者を血液培養検査までしながら帰宅させたケースについての振り返り」が報告された。尿路感染症を疑ったのに尿所見に乏しかったケースである。その臨床推論の仕方について様々な意見が出された。クリニカルパール:検査所見よりも病歴・身体所見を重要視すること、忙しいと判断力が鈍る。学生さんから「疾患だけでなく患者背景を含めて議論される内容が新鮮であった」という意見をもらった。
終了後、見学に見えた学生さんを含めてススキノの海鮮料理屋での慰労会へ移行した。

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  北海道プライマリ・ケアネットワーク家庭医専門医研修医をニポラーと呼ぶ。今回は毎月第三水曜日に開催しているニポラーのためのニポポ・ポートフォリオ発表会の様子を報告する。開催日、2月17日。
最初に、私がIan R. McWhinneyのTextbook of Family Medicineの一部からとったIllness, Suffering and Healingについて紹介した。患者の苦悩を考慮するところまで理念に入れているところが、家庭医療と内科学の違いの一つと言えるのではないだろうか。McWhinneyは癒しに必要なことで医師がすべきことが二つあるという。注意を注ぐこと(attention)と寄り添うこと(presence)である。また「貧者を喰らう国」という本(阿古智子著)から民族誌的な研究(Ethnographic study)の「エイズ村の慟哭」を紹介した。保身に走る中国官僚の実態が暴かれている。映像記録を含む写真・フィルムに対して人類学的手法をベースにして特定の民族の特徴を描き出す研究手法である(現代社会における様々な組織や集団、個人にも焦点を当てる)。最後に1月末に参加した第2回近畿ブロック後期研修医ポートフォリオ発表会の様子を紹介し、ポートフォリオ発表会に入った。
三年生から「転記ミスの多い指示簿システムを改善したケース」、「日常診療を継続しながら臨床研究を続けたケース」の発表があった。たまたま今回に限り道庁の保健福祉部より研修内容の評価のための視察があった。その方から道職員として現場で仕事をしながら研究をさせられた経験が語られ、研究経過の苦労について共感をもって評価していただいた。二年目研修医から「突然死した患者家族から医療過誤ではないかと説明を求められ、苦悩しながら説明して納得してもらったケース」、「往診を要請されたが、重症性を考慮し救急車での来院をすすめたがうまく電話でナースが伝えることができなかったケース」の報告があった。プロフェッショナリスムやコミュニケーションの観点から様々な意見が出された。個人を責めるよりも、今後の医療安全に活かすためにどうしたらよいかという視点で1時間ほど議論が盛り上がった。1年目研修医から「なにをやっても改善を認めず死に至ったケース」、「器質疾患か心理社会的問題か判別できないまま様々な病院を回っていた患者を傾聴することで器質疾患の治療につなげたケース」が報告された。報告した研修医の自己評価は思いの外低かったが、他の参加者より結果にかかわらず患者や患者家族に寄り添って傾聴することで十分に職責を果たしているのではないかという意見が大多数を占め、発表した研修医を安心させることができた。
途中休憩を挟んで14時から16時まで発表会は続いた。終了後、ピザとポテトフライを食べながら日常の世間話。一方、道庁から研修補助金を受けている研修医2名は個別面談により研修内容の評価を受けた。総合医・家庭医を養成したい北海道保健福祉部に所属している関係者にとって今回の視察は、総合医・家庭医とは何かを知る貴重な機会となったと高い評価をいただいた。

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